第四章



「ぁ」

扉はほんの少しだけ開いていた。

リムがドアノブに触れると、扉は小さく軋む音を立てながら開いて。隙間から覗いていたのは、表情に影が差したスピカ。

「スピ」
「それ……本当かよ」

リムがその名を口にしようとしたその時、遮るようにスピカは呟き、顔を上げて。

――怒っている。

鋭い眼差しで部屋の全体を見回すと、スピカはルーティを視界に捉え、睨み付けて。

「ルー!」
「仕方っ」

スピカが怒気を含んだ声を張ると、ルーティは口を咄嗟に開いた。が、一旦口を閉ざし、目を逸らしては気まずそうに。

「……ないよ。僕達はX部隊で、彼らはダークシャドウ。敵なんだ。戦士なんだよ」
「だからって!」
「戦わない」

ルーティの発言に噛み付くスピカだったが、ユウはベッドの縁に腰掛け、腕を組み、足を組みながら口を挟んで。

「……意味などあるのか?」

スピカを、睨み付ける。
 
 
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