第四章
いつだって分かっているつもりだった。
戦わない方法で、平穏など有り得ないのだと。それでも、信じたかったのだ。
スピカと過ごすことで人間らしい感情が芽生えたダークシャドウ。彼らに悪意は無いのだと……戦わなくても、良いのだと。
「私達は戦士だ」
あまりにも衝撃的な発言で静まり返ってしまった室内に、ユウの声だけが響く。
「戦わない方法なんてものはない。だから戦わなくてはならない……説得するだけなら一般人にだって出来る。戦士になったのは何の為だ? 肩書きか?」
恐らく、ルーティ以外のメンバーもダークシャドウとは戦わないつもりでいたのだろう。誰もが目を伏せていた。
最も、ウルフだけはそうでもないのか、壁に背中を預け黙って聞き入っていたが。
「自覚しろ。誇りを持て。戦え」
ユウは浅く息を吸うと。
「以上だ」
吐き出すと同時にそう告げて、瞼を閉じた。ルーティはゆっくりと顔を上げ、窓の外を見遣る。――雨は未だ、降り止まない。