第四章
手に持ったコップの残り半分の水を飲み干し、ユウは空のコップをリムに返す。
「……操られるかどうかは意思の問題だ」
ルーティにとって、それはあまり聞きたくない話だった。眉を顰め、俯く。
「これは彼らの中で、悪事を働かないという意志が弱かったことに繋がる……」
「でもっ!」
ぱっと顔を上げ、ルーティは口を開くが、ユウに鋭い目付きで睨まれて。
繰り出そうとした言葉をぐっと呑み込み、ルーティは拳を握り、再び俯く。
「所詮は悪だったということだ。マスターによって生み出された人間兵器……敵に心を許したのがそもそもの間違い」
ユウは続けて。
「ならば、一度原点に戻るべきだ。奴らが敵なら、私達は何をするべきだ?」
「それは……」
「分かっているだろう」
ぽつりと気まずそうに口を開くルーティに、ユウは敢えて厳しく言い放つ。
「――ダークシャドウは、殺すべきだ」