第一章
一方、此方はダークリンクとダークトゥーンの部屋。ダークトゥーンはベッドに腰掛けると、楽譜を片手に眺めて。
未完成の曲。しかし、書き込まれた音符は長く放置されていた割に、まるで生きているかのように五線譜の上で踊っている。
ぴったり前奏だけ書かれているのが気になるが、作者も思い付かなかったのだろう。
「馬鹿みたい」
ぽつりとダークトゥーンは呟いた。
――どうせ完成させないのなら、端から作曲なんてしなければいいのに。未完成のまま放られるなんて、楽譜の方が可哀想だ。
ダークシャドウの中でも音楽に詳しかった彼は、前奏を一通り眺めただけでその曲がどんな風に化けるのかを想像した。
きっと素晴らしい曲になる。
そうなると作曲意欲も湧いてきて、ダークトゥーンはまず、音符に添って音を奏でたらどんな曲になるのだろうと考えて。