第三章
「いやぁあああ!」
ピチカは耳を劈くような悲鳴を上げて。
「ピチカ!」
その呼び声に視界は暗転し、次に明るくなった時には暗闇から解放されていて。
己を抱き起こし、心配そうに此方を見つめているのは他でもない、あのリムである。
「あ……っああ……」
困惑。震えるピチカを抱き寄せ、頻りに頭や背中を撫でては落ち着かせようと試みる。ピチカは辺りを見回して。
――間違いなく、ここはエックス邸内の玄関先である。さっきまで遊園地にいたはずなのに、自分はどうやってここまで……
「どう……しようっ……」
「ピチカ?」
「皆、死んじゃったの……何処にもいないの……っどうしよう……!」
――子供は無力だ。
「ピチ」
「皆……死んじゃったぁぁ……!」
鬼ごっこを制覇した少女、ピチカは。最愛のパートナーであるリムの腕の中で、いつまでも泣きじゃくっていた―――