第一章
「保護者がいねぇな」
いつの間にか、ダークリンクはスピカの隣に移動(というより避難)していて。
「馬鹿を野放しにしやがって」
ダークリンクはふんと鼻を鳴らし。
何処までも馬鹿扱いをされているダークフォックスに少し不憫に思いつつ、ふと、スピカは先程の楽譜のことが気になって。
「そういえば、何処で見つけたんだ?」
「図書館。奴らから奪ってきた」
奴ら、とは誰か何となく察したが、妹のピチカが巻き込まれてなければそれでいいのか、スピカは成る程と頷いて。
「……でも、珍しい楽譜だよな」
ぽつりとスピカは呟いた。
「真っ黒な紙に白い五線譜と音符が書かれているなんて……本当の作者はどうやって書いたんだろうな。修正ペン?」
そうだとすれば相当物好きな作者だな、とスピカは笑って。しかし、ダークリンクは何かが頭に引っ掛かっていた。
――ま、どうせ気のせいだろうけど。