第三章
次にトゥーンが何かを言うよりも先に、ディディーはぐっと右腕を引っ張り、トゥーンを鉄格子へと引き寄せて。
「トゥーン!」
「ぐっ」
続いて、ディディーはトゥーンの左腕を掴み。トゥーンは鉄格子に背中を向ける形で拘束されてしまい。ピチカは何とかディディーの手を離そうとするも、敵わず。
「離せ、ディディー!」
「置いていくなよ……なあ。なあ?」
ディディーはトゥーンの右腕と左腕をしっかり掴んだまま、離す気配はなく。
その時、トゥーンの視界の端でネスとリュカが起き上がるのが見えて、トゥーンは咄嗟にピチカを蹴り、引き離す。
「きゃっ」
間一髪、ネスとリュカは鉄格子に飛び付いて手を伸ばすも、ピチカには届かず。
トゥーンが安心したのも束の間、今度はマルスが剣を片手にゆっくりと歩み寄ってきて。ディディーは解放しようとしないし、ネスやリュカもいるので、ピチカを近くに呼び寄せる訳にもいかない。