第三章
「だっ」
中にいるダークマルスを殺せば、マルスは元に戻るはず。そう思って、トドメを刺そうとトゥーンが踏み出した、その時。
「駄目だよ! 殺したら!」
ピチカがトゥーンの後ろから抱きつき、足止め。トゥーンは怪訝そうな顔付きで。
「何でだよ? こうしないとマルスが」
「だからって殺すのは駄目! ダークシャドウはにぃにの……にぃにの大切な家族なんだからっ!」
ピチカが訴えると、トゥーンはやむを得ず剣を鞘に仕舞って。――とにかく、ここから離れることを優先せねば。
「行くぞ、ピチカ」
トゥーンはマルスに背を向けると、ピチカの手を引いて歩き出し。しかし次の瞬間、鉄格子の間からディディーの手が伸びてきて、トゥーンの右腕を捕らえ。
「っディ」
「……くなよ」
ディディーはニヤリと口角を吊り上げて。
「置いていくなよ、トゥーン……」