第三章
トゥーンは剣の柄をしっかりと両手で握って構えると、マルスからの攻撃に備えて。
マルスの薙ぎ払いは飛び上がって躱し、振り翳した剣を振り下ろす。ひらり躱され、トゥーンが着地したと同時にフェンシングと同じ要領で突き出される剣。
体を反らし、懐に飛び込んでトゥーンは己の剣をマルスの腹に深々と突き刺す。
「っ何」
ピチカは思わず両手で口元を覆って。
まさか味方を刺すわけがないと高を括っていたマルスは、小さく声を洩らし。
ところが、引き抜かれてもマルスの体に傷はなく、それでもダメージはあったのか、マルスはふらふらと後退して。
「俺のこの夢幻の剣は」
トゥーンは軽く剣を振るって。
「影を斬る」
――トゥーンの持つ夢幻の剣は、太陽光を浴びて光を刀身に宿すことで、影を斬ることが出来る特別な剣。
影とは即ち悪。マルス本人に悪意があったなら結果は別だったろうが、そうじゃなかったからこそダメージを受けたのはダークマルスだったというわけだ。