第三章
言葉を交わす余裕はなかった。
こうして二人が走っている間にも、右や左からお化け役らしき男女が脅かそうと飛び出してきて。それでも二人はそんな彼らに目もくれず、止まない足音から逃げるべく夢中で走り続けた。
「っ……、ぁ」
その時、ぴたりとピチカの足が止まって。
トゥーンは立ち止まると振り向き、「何してんだよ!」と声を荒げつつ、ピチカのその視線の先を辿り。――そこには。
「えっ」
檻があった。その中で横たわる、三人の少年。ピチカもトゥーンも見覚えのある少年三人を目に硬直し、立ち尽くして。
「……やっと、来てくれた」
その内の一人がぽつりと口を開き、ふらつきながらも立ち上がる。ゆっくりと歩み寄っていき、鉄格子を掴んで顔を上げる。
「なあ? トゥーン。ピチカ」