第三章



「……トゥーン?」
「見るな!」

トゥーンが声を上げるも一足遅く、ピチカもその物体を目にしてしまい。

ピチカは一瞬目を見開き、直ぐ様ぎゅっと瞼を瞑ってトゥーンに抱きつき、顔を埋めて。……物体の正体。

それは紛れもない、本物と思しき複数の生首だった。見知った顔じゃなかったことは幸いだが、あまりにも衝撃的すぎて二人の足は止まり、その生首に見入っていて。


「っきゃああぁあああ!」


突然、このお化け屋敷に女の悲鳴が響き渡った。刹那、台の上に並べられた生首らがガタガタと震えだし、閉じていた瞼がカッと開いて二人を視界に捉え。

直後、肉を切り裂く独特の音が遠くに響いて。次いで足音が徐々に迫って聞こえてきて、トゥーンははっと我に返ると、ピチカの手を引きながら駆け出して。
 
 
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