第三章



「だって、いきなり冷たかったんだもん」

ピチカは一旦トゥーンの腕を離すと、遠慮がちに服の裾をぎゅっと掴んで。

顔を俯かせていては駄目だ、と顔を上げたトゥーンは、ピチカの手を掴んで先導するように早足で歩き、口を開く。

「ったく。離れるなよ」

自分がしっかりせねば。

他の男三人がいない今、ピチカをリード出来るのは自分だけなのである。

お化け屋敷が怖くないわけではなかったが、トゥーンはピチカの手をしっかりと握り、大丈夫だと自分の心に言い聞かせて。

「っ、トゥーンこそ」
「俺は男だぞ? 平気に決まって」

吊るされているコンニャクや、死角から噴射する空気くらいなら驚かなかった。

しかしこの暗闇の中、ただ一つライトアップされた台の上に飾られたとある物体が視界に飛び込み、トゥーンは目を見開いて。
 
 
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