第三章
ディディー。ネス。リュカ。
「トゥーン……」
ピチカは心配そうに顔を覗き込んで。
「大丈夫?」
出来る限り心配させまいと苦笑を浮かべつつ頷くトゥーンだったが、三人の悲痛な叫び声を耳にした今、気が気じゃない。
ピチカにはこれ以上聞かせられない、とイヤホンと無線機は取り上げてしまった。
顔色が悪いトゥーンを見ても、“どっちが”原因なのか分からないのだ。それというのも、この建物というのが。
「きゃっ!」
お化け屋敷の中だからである。
「わっ! ば、何びびってんだよ」
暗闇の中、吊るされたコンニャクが頬に張り付いて驚いたのか、ピチカはトゥーンの腕にしがみついて。
トゥーンは釣られて驚き、微かに頬を赤らめて。……しかし、すぐに顔を俯かせ。
――いつもなら嬉しくて、楽しいはずだった。なのに、今はこの状況だって素直に喜べない。ここが……本当にあの、遊園地?