第三章
一歩踏み出し、リュカの両肩を掴んで。
ネスは額にそっと唇を落とし、離す。超能力によるものなのか、リュカはそこで身動き一つ取れなくなってしまい。
ネスは口元に小さく笑みを浮かべると。
「ごめんね」
一言、そう告げて。リュカが目を見開き、呆然と立ち尽くす中。とん、とリュカの背中は叩かれて、視界はすぐに暗転した。
「――え」
気が付くとリュカは暗い檻の中に放り込まれていた。あの時自分はリンクに捕まり、敗北したのだとリュカは理解して。
……分かっていたはずだった。
一度姿を見失ったら疑うべきだ。それでも、誰よりも大好きなネスだったから、疑うよりも先に再会に浮かれてしまっていた。
――自分は、まだまだ子供だ。
「……ここ……」
それにしても、ここは何処なのか。リュカは鉄格子に触れ、目を凝らしてみる。