第三章
「っ……」
一歩、踏み出すディディーとリンク。
リュカは呼応するように後退り、ネスの手を今一度強く握り締めると、ネスを連れて逃げ出そうと引っ張って。――しかし。
「っネス! 何をして」
ネスはその場に立ち尽くしている。
このままでは捕まってしまう、とリュカはネスの腕をぐいぐい引っ張るが、ネスは動かず黙ったまま、視線は真っ直ぐディディーとリンクへと向けられていて。
「ネス……っ!」
置いていってしまうわけにもいかず。
リュカは一体どうしたのだとネスの前に出て、両肩を掴む。が、すぐに離して。
「っ……あ、……ネス……?」
リュカは一歩、後退して。
見れば、ネスの瞳には赤黒い光がぼんやりと灯っていて。まるで感情を失った暗い瞳は、間もなくリュカの姿を捉えると。
「……リュカ……」