第三章



「ひっ」

リュカは小さく悲鳴を上げて。

それもそのはず。――そのある物体とは、ジェットコースターだったのだから。

「あ……」

とにかく逃げなければとは分かっていても、足が竦んで思うように動かない。

何とか一歩後退り、息を呑む。もう目の前まで迫ってきているジェットコースターを躱す為、リュカは意を決すると。

線路から飛び出した。

意外にも線路の位置は高く、すぐに高度ががくんと落ちて。咄嗟に超能力を発動出来ず、思わず目を瞑った――その時。


「リュカ!」


聞き覚えのある声にはっと目を見開く。

次の瞬間、リュカの腕は掴まれてジェットコースターの上へ。乗ってしまえば比較的安定していて、風も心地好い。

ジェットコースターの椅子に腰掛け、一息。そして、この腕を掴んでくれた人物の顔を、リュカは恐る恐る確認してみて。
 
 
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