第三章
「……行って」
たった一言、そう告げて。
ネスはリンクの元へ駆け出す。伸びてきた手を屈んで躱し、バク転の要領で右足の爪先でリンクの顎を蹴り上げては後退。
「ネスっ」
リンクが怯んだところで低く飛び上がりつつ詰め寄り、右足をリンクの左肩に掛ける。そのまま重心を乗せて更に飛び上がり、右足は右肩、左足は左肩にそれぞれ移動させて、首を挟む。
この状態で上体が前に傾くまま重みでリンク自体を引き寄せて、地面に両手を付く。
前転の要領でリンクの体を足で持ち上げつつ逆立ち、勢いに乗せて頭から地面に突き落とし、足を離すと反動を付けて空中で後転しつつネスは地面に着地。
「……ぁ」
「リュカ!」
小さく声を洩らし、その場で立ち尽くすリュカを横目にネスは語気を強めて名を口にする。まるで金縛りが解けたかのように、リュカは背中を向けると駆け出して。