第一章



とはいえ、ダークトゥーンの“そういう顔”に弱いのか、スピカは小さく溜め息を洩らすとぱちんと指を鳴らして。

すると、スピカお得意の漆黒の稲妻がダークフォックス目掛けて走り、ダークリンクは慌てて離れる。ダークフォックスは跳ね返すわけにもいかず、結局。

「ふぎゃあああっ!」

廊下に響き渡る、ダークフォックスの声。

あっという間に焼け焦げたダークフォックスは床に倒れてしまうが、ぴくぴくと微かに震え、まだ生きていて。

ダークトゥーンはそれを目の前で見届けただけで満足したのか、ようやくスピカから離れて。スピカは頭を撫でながら、

「また作曲でもするのか?」

ダークトゥーンは微笑を浮かべ、頷く。

……彼が音楽を好いていて、作曲や演奏を趣味としていることはもちろん知っていた。だからこそ、スピカは笑って。
 
 
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