第三章
「早く!」
一方、此方はネスとリュカ。
鬼であるリンクに見つかり、追いかけられている最中で穏やかな雰囲気ではない。
メリーゴーランドやコーヒーカップ、客もいないのにからかうように動き出し、響き出す軽快なメロディに無線から聞こえてくるトゥーンの声が二人の耳へは届かず。
「ぼ、僕……っも」
「馬鹿! 捕まったら何をされるかっ」
とはいえ、ディディーの先程の悲鳴が聞こえなかったわけではない。捕まったらどんな罰ゲームとやらをやらされるか、それはもちろん定かではない。
だからこそ全力で逃げてはいるが、所詮は子供。体力にも限界はあるし、相手も大人なのでこれでは追い付かれてしまう。
「くっ」
仕方なく、ネスはリュカの手を離す。
数歩進んだ先でリュカは立ち止まり、振り向いては両膝に手を付きながら息を弾ませて。ネスはリンクを見つめ、構えると。