第三章



「早く!」

一方、此方はネスとリュカ。

鬼であるリンクに見つかり、追いかけられている最中で穏やかな雰囲気ではない。

メリーゴーランドやコーヒーカップ、客もいないのにからかうように動き出し、響き出す軽快なメロディに無線から聞こえてくるトゥーンの声が二人の耳へは届かず。

「ぼ、僕……っも」
「馬鹿! 捕まったら何をされるかっ」

とはいえ、ディディーの先程の悲鳴が聞こえなかったわけではない。捕まったらどんな罰ゲームとやらをやらされるか、それはもちろん定かではない。

だからこそ全力で逃げてはいるが、所詮は子供。体力にも限界はあるし、相手も大人なのでこれでは追い付かれてしまう。

「くっ」

仕方なく、ネスはリュカの手を離す。

数歩進んだ先でリュカは立ち止まり、振り向いては両膝に手を付きながら息を弾ませて。ネスはリンクを見つめ、構えると。
 
 
35/59ページ
スキ