第三章



「っ……とにかく、逃げろ」

ディディーは息を切らしながら、無線から話を聞いているであろうトゥーン、ピチカ、ネス、リュカの四人に告げて。

「おまっ」
「いいから、逃げろぉ!」


ずっ


「ああぁあ」

ディディーの悲痛な叫び声が終わってしまわぬ内に、トゥーンはピチカの耳から無線機へ繋がるイヤホンを抜き取った。

今更ではあるが、これ以上彼女に聞かせるのはあまりにも苦痛でしかない。

しかし、トゥーンもピチカも酷く青ざめていた。何よりトゥーンはディディーの叫び声や肉を突き破る独特な音を最後まで聞き届けたのだから、吐き気が催して。

「っ……ディディー」

――馬鹿じゃねえの。お前がいなきゃ戦隊ごっこは味気無いし、ピチカとの取り合いだって……馬鹿。格好付けやがって。
 
 
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