第三章
直ぐに異変が起きたのだと分かった。
はっと目を見開いたトゥーンはピチカと顔を見合わせ、最悪の事態が頭を過る。
「ディディー! おい! 何があったんだよ! 冗談抜きで応答しろ、馬鹿!」
焦り、トゥーンは声を荒げる。
「っ……れ、た」
「え?」
ディディーの掠れた声にトゥーンは叫ぶのをやめて、恐る恐る耳を澄ましてみる。
「刺されたんだよ……っくそ……!」
「なっ」
間もなく投げ遣りな言葉が返ってきて、トゥーンは小さく声を上げる。……間違いなく、ディディーは死角である真後ろから横腹にかけて剣で貫かれていた。
狭い空間の中、先程からそうだったが激痛で動けない。鮮血がどくどくと溢れ出る中、ディディーは必死に意識を保ち。
「やっと分かった……っここは」
ディディーは眉間に皺を寄せながら。
「樽の、中……っ!」