第三章



「……んっ」

暫くしてディディーは閉じていた瞼をゆっくりと開き、辺りを見回した。

どうやら気を失っていたようだ。

しかし、ここは妙に狭く、暗い。ディディーは完全に意識を取り戻すと、まずはそれまで背凭れになっていた壁に触れてみて。

――この材質は。

「ディディー!」
「ひっ」

不意を突いたのはトゥーンの声。

ディディーは思わず小さく声を上げて、一旦深呼吸をすると心臓を落ち着かせて。

「……何だよトゥーン」
「何だよ、じゃねーし! お前、全然応答しやがらねえからっ……心配、して……」

トゥーンの声は珍しく、今にも泣き出しそうなくらい弱々しかった。隣にピチカもいるのに、強がりが言えないってことは。

「……おう。悪ぃ」

それほど心配させてしまったということ。

全く。恋のライバルに心配させるなんて情けない。ディディー、小さく溜め息。
 
 
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