第三章
人の気配。
「単純な方法で申し訳ないけどぉ」
ディディーがはっと振り向いた時にはもう遅く、密かに背後に忍び寄ってきていたマルスにより、羽交い締めにされて。
「あんたはここで終わりぃ」
後ろから顔を覗き込み、ニヤリと怪しく口角を吊り上げる。ごくりと息を呑み、ディディーはきっとリンクを睨み付けて。
「おいおい。んな顔をするなよ」
リンクは呆れたように溜め息を洩らしながら、ディディーの元へ歩み寄る。
目の前に来るなり立ち止まり、笑って。
「恨むなら、地獄で恨みな」
とん、とディディーの肩に手で触れて。
すると地面が揺れ始めて、マルスはディディーを解放してリンクの隣に並び、共に後退。ディディーは困惑して。
「は? 何――」
ぴたりと揺れは止んで。
次の瞬間、下から上へ向かって強風が吹き抜ける。恐る恐る、足下に注目してみて。