第三章



人の気配。

「単純な方法で申し訳ないけどぉ」

ディディーがはっと振り向いた時にはもう遅く、密かに背後に忍び寄ってきていたマルスにより、羽交い締めにされて。

「あんたはここで終わりぃ」

後ろから顔を覗き込み、ニヤリと怪しく口角を吊り上げる。ごくりと息を呑み、ディディーはきっとリンクを睨み付けて。

「おいおい。んな顔をするなよ」

リンクは呆れたように溜め息を洩らしながら、ディディーの元へ歩み寄る。

目の前に来るなり立ち止まり、笑って。


「恨むなら、地獄で恨みな」


とん、とディディーの肩に手で触れて。

すると地面が揺れ始めて、マルスはディディーを解放してリンクの隣に並び、共に後退。ディディーは困惑して。

「は? 何――」

ぴたりと揺れは止んで。

次の瞬間、下から上へ向かって強風が吹き抜ける。恐る恐る、足下に注目してみて。
 
 
25/59ページ
スキ