第三章
――様付け?
ディディーは疑問符を浮かべた。そう呼ぶということは、それほど慕っているということなのだろう。いや、だとしても。
タブーと共にエックス邸にやって来たスピカは、ダークシャドウに逃がされたかのように見えた。一番想い慕っているリーダーであるスピカを逃がしてまで、仕えるような相手なのか? いや、或いは。
洗脳。本心じゃないのかもしれない。
「本物は?」
ディディーは距離を取るようにじりじりと後退りながら、リンクに訊ねて。
「強制的に眠らせた。この中にいる。永遠と悪夢を魅せられているのさ……精神が崩壊して魂が消え失せるのも時間の問題」
リンクは人差し指を立てて。
「ちなみに、どうやって悪夢を魅せたかというと。ダークスコアという楽譜に記された音符に添って、曲を奏でたのでした」
「っは、そこまで聞いてな」
「ちなみにちなみに」
リンクは満面の笑顔で。
「どうしてぺらぺらと喋るんだと思う?」