第三章
「っ、どっちから……!?」
前か、後ろか。
靴音は一定の速度で踏み鳴らされ、此方へと向かってくる。どちらから来るかは分からない……一か八か、ネスはリュカの手を引きながら元来た道を引き返した。
「ひっ」
そこには、剣を手にしたリンクの姿――
ネスは数歩後退り、背中を向けるとリュカの手を引きながら駆け出した。
右へ、左へと滅茶苦茶に曲がりながら、リンクを撒くべく猛ダッシュで走り続ける。
「見付かったの!?」
ピチカの声。しかし、応えているような余裕は無い。振り向けば、しっかりとリンクは同じ速度で追いかけてきているのだ。
――が、間もなく行き止まりに出会して。
しかもそこまでの道程が一本道だった為、引き返せず。二人は絶望し、青ざめて。