第三章



ここは、鏡の壁で作られた鏡の迷路。

逃げ込んだ、というより迷い込んだネスとリュカは、しっかりと手を繋いだまま慎重に進み、出口を探していた。

「っ……はあ。脅かすなよ」

その慎重さ故に警戒心も高めていた為、急に無線から聞こえてきたディディーの声に思わず、二人は身を寄せ合って。

ネスは短く息を吐き出し、応答。

「……今、何処にいるんだ?」

彼らが大袈裟にも驚いたこと、そして声音から神経質になっていることに気付き、ディディーは声を潜めて訊ねる。

「鏡がいっぱいある迷路。入ったはいいんだけど、出口がなかなか見付からなくて」

ネスは困ったように溜め息を洩らす。

――その時、前方の鏡に人影が映り、ばっと振り向くリュカ。目を見開いて。

「っ……あ……」

気付いたネスが、ゆっくりと振り向く。
 
 
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