第三章
「っ……危なかった」
思わず、ぽつりと呟いて胸を撫で下ろす。
そういえば、X部隊は常に連絡を取り合えるように無線機を持ち歩いているのだ。
ディディーはそのことに今更気付いて、無線機の電源をONにする。イヤホンを耳に当て、リンクの背中を見送りながら。
「此方ディディー。応答願」
「ディディー!」
すぐに返事は返ってきた。
ピチカの声は予想以上に大きく、ディディーは苦笑を浮かべて。心配されるのは有り難いが、これが原因で気付かれたくない。
「心配したんだよ!? 返事、全然無かったから……!」
「落ち着けって、ピチカ」
ピチカを宥めるのはトゥーンの声が。ディディーは二人の無事に安堵すると。
「そうだ、落ち着け。……とりあえず、鬼は撒いた。何処に向かったかは不明」
ディディーは続けた。
「ネス、リュカ。そっちは大丈夫か?」