困った時の?
瞳にともった青の灯が静かに失せる。
「……これで満足か?」
ここはユウとリオンの部屋。
「おおっ!」
今度マスターとクレイジーが再構築したのは――パソコンである。
どうやら良くない電子広告を踏んでしまったものでウイルスに大切な画像や動画やゲームデータ、何から何まで食われてしまったらしい。試しにリオンがマスターと入れ替わりにマウスを操作してデータを確認してみるとまずもって常人には不可能であろうデータの数々が一語一句誤りなく綺麗さっぱり戻ってきている。
「不注意で消してしまった作成途中のGIF動画まで……!」
「……やたら特徴ある題名だったからな。俺個人が気になっただけだ」
「どんな動画だよ?」
クレイジーが訊くとリオンはふっと笑みを浮かべてマウスを操作。
「額に滲む汗、疲労で紅潮する頬。衣装が捲れると同時に窺える足腰のライン!」
GIF動画を画面いっぱいに再生しながら。
「試合中は誰も対戦に夢中で油断しているからな! 私はそんな戦士たちのあられもない姿をひとつひとつ切り出しまだ見ぬ同志たちに提供しようと」
鈍い音。
「全てではなく個々のデータを壊すといったことは」
「クレイジーやってやれ」
ユウの手によって大きなたん瘤を抱えてうつ伏せに倒れるリオンを目に溜め息。
「はいはい……」