困った時の?
はてさて。これは一体どういうことなのだろうか。
出会い頭に頼みがあるからと連れられて辿り着いた先は倉庫。何が始まるのかと警戒を怠らず睨んでいれば口達者な勇者様と意固地な王子様がお願いします、なんて頭を下げるとは。何を企めば敵対組織の頭領に頼らざるを得ないのやら。
言うより何よりまずは事情だ。
ま、どうせ聞いたところで大したことなんか――
「何じゃこりゃあぁああ!?」
前言撤回。
「お、大きな声を出さないで」
「事が事なのにこれが落ち着けるかあっ!」
クレイジーが騒ぐのも無理もない。
彼らの足下。風呂敷の上に置かれていたのはリンクの愛剣マスターソードとマルスの愛剣ファルシオン。それがどうしたかと聞かれればご覧の通り。刀身の半ばからぽっきりと折れてしまっているのである。
「何してくれてるわけ!?」
「わ、悪いことをしたとは思って」
「反省の意思を示せと言っているんじゃない」
マスターは変わり果てた二つの剣を見下ろして。
「……とんでもないことをしてくれたな」
「分かっています。なので早く直していただけますか」
「簡単に言うけどさぁ」
クレイジーは溜め息を吐き出す。
「二度はないから説明してやるよ」