困った時の?



裏世界というからには陽の光に恵まれた表世界とは隣り合わせになるわけで。

空間を裂いて潜り抜ければ、すぐそこに。


悪役というからには正義の側である彼らには酷く毛嫌いされている。今までだって様々な事件を起こしてきたのだしいくら相手が“この世界”の主だといったところで気を許すつもりなど毛の先ほどもないわけで。

そもそもの話が敵対してるのだ、出会い頭に「死ね」と吐き捨てられるのも正しく挨拶のようなもの。寧ろそれが挨拶なら控えめな方である。

……そんな扱いを受けていて腹が立たないのかといえば。こればかりは神故の余裕というか寧ろその反応を楽しんでいる傾向にある。第一に心の底から恨んでいれば先程の亜空間にある基地に乗り込んででも抹消しに来るのだろうし。

彼らの本心。それが分かっているから余計面白いのだ。


「相変わらず狭いよなー」

――X部隊の拠点、エックス邸。

「改装でもすればいいのに」
「ここの連中はそこまで計画的に人が出来ていないからな」

手厳しい評価をこぼしていたところ、程なく。

「……!」


遭遇したのはリンクだった。


「あっれえ、もう見つかっちゃった」

わざとらしく声を上げればそれだけでひと睨み。

はてさてどう仕掛けてくるのやら。剣を払って斬りかかるか応援を呼ぶか――内心楽しみにしつつ目を見張っているとリンクはふいと目を逸らして。

「……仕方ない」

ぽつりと呟く声に期待が高まったのも束の間。

「すみません」
「うん?」
「頼み事があるのですが」


……、……え?
 
 
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