困った時の?
……たくさんの物語を見ておいで。
夢を見た。甘く、ほろ苦く優しい夢を。
お人好しといえばお前のことを忘れるところだった。なんて。
たくさんの物語が溢れてくる。
まだまだお前と同じ場所には行けないようだ。
「……気が付いたか」
ゆっくりと瞼を開くとあまり見慣れない顔が微笑を浮かべて迎えた。
「兄さんっ!」
直後に。
「クレイジー」
「心配したんだよ、ってか僕もさっきまで寝てたんだけどさ」
「そうじゃないだろう。ここは何処だ」
「ここはレイアーゼ司令塔四階フォーエス寮」
覗き込む弟を退けて起き上がる。
「……何のつもりだ」
静かに問うマスターの心中が穏やかであるはずもなかった。
初めに迎えたのは第四正義部隊『フォーエス部隊』の隊長を務めるロックマン。先程の質問に答えたのはルキナ。その答えが正しいなら此処は――敵基地ということになる。その敵基地の一室のベッドに安静に寝かされて、目覚める今の今まで兄弟共に無事だとは一体どういうつもりなのかまるで意図が掴めない。
側に寄るクレイジーを一瞥してマスターが目を見張っていると。
「……さっきのこと」
ルキナがゆっくりと口を開いた。