困った時の?




此処は決して陽の光が射さない未開の地。裏世界――亜空間。

その場所にひっそりと佇む黒塗りの巨大研究施設の奥には王の間と呼ぶに相応しい一室が存在し、そこには“この世界”の主であり支配を目論む『亜空軍』総指揮者、双子の兄創造神マスターハンドとその弟破壊神クレイジーハンドの姿が――


「暇なんだけど」 

おっと。

「なぁんで誰も仕掛けに来ないわけ?」

ふわりふわりと浮遊しながら嘆くのはクレイジーである。

「ほんっと面倒だよね、正義の味方って。こっちが何かすればその邪魔をするだけで根絶やしにしようって気はまるでないしただのお人好しじゃん」
「そんなことは昔から分かっていたことだろう」

呆れたように玉座の上で息を吐き出すのはマスターだった。

「新しい正義部隊。あいつらやたらめったら攻撃的だから期待したんだけどなぁ」
「事件のことで灸を据えたのが効いているんだろう」

ふぅ、と短く息をついて。

「暇だよね」
「紛うことなき暇だな」


こういう時は。


「遊びにいこっか、兄さん」
「妥当だな。そうしようクレイジー」
 
 
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