乱立!ラブフラグ!
――次の日。
「おっ」
レイアーゼ繁華街から少し外れた所にある噴水広場。待ち合わせ場所には打ってつけである其処を、もちろんのこと待ち合わせ場所として指定したのはパックマンである。普段ゴシックやパンクを着こなす彼も、今回ばかりは主張を控えめにして、それだけにそれほどの時間を食われずに待ち合わせ場所を訪れたのだが。
「もう来てたんだ」
さすが。ロックマンはそれより早く時計塔の下で待機していた。
「遅刻してくるかと思った」
「そこまで無計画な人間でもないさ」
「へえ」
「朝あった仕事は全部マークに押し付けてきたからな」
おいおい。
「いいのかよ」
「午前空いているのは知っていたからな」
うわあ。立場を逆転して考えてみるとぞっとする話だ。まっ、あいつも変に真面目だからなぁ……自分だけは今後その対象にならないことを祈りつつ。さて行きますかと一歩踏み出そうとしたその時。
「パック」
はたと。
「せっかくのデートだろう」
ロックマンは接近しつつ、
「今日くらい呼び名を変えるというのはどうだ」
「は、はあ?」
「二人きりなんだから」
そう言って伸ばしたその手でパックマンの手を掬い上げるのだから。
「……な?」
得ていらっしゃる。
「別にそのくらい今日だけじゃなくても」
「話なら歩きながら聞こう」
「んがっ、引っ張るなって聞いてるのかよ……ロック……!」