乱立!ラブフラグ!
とうとう。……部屋に着いてしまった。
カードキーを使って扉を開き、靴を脱いで狭い通路を少し歩いた先。もうひとつの扉を開けばようやくリビングとダブルベッドがお出迎え。
荷物を並べておいたところでロックマンはソファーに腰を下ろすとローテーブルの上に置かれたメニューを手に取った。メニューには様々な料理やドリンクが載っており傍にある電話機で注文すればスタッフが部屋に届けてくれるのだ。しかも部屋の中に足を踏み入れるでもなく、そういった専用ポストの中に入れてベルを鳴らし知らせてくれるのでわざわざ顔を合わせる心配もない。
「へえ、結構ドリンクの種類あるんだ」
コートハンガーに帽子と上着を掛けて隣に座り、メニューを覗き込む。
「パックマン、サングリアの白がいいなぁ」
そうか、と相槌を挟んで。
「お前は何にするんだ?」
「マカにんにくすっぽんハイボール」
犯られる。
「それとこのサーモンの生春巻にしようかな」
生。
「お前は決まったか?」
心中掻き乱す発言の数々に。
「……パック」
「シャワー浴びてくる!」
慌てて立ち上がり、ばたばたと。
訝しげに見送ってロックマンはメニューに視線を戻す。受話器を手に取って。
「すみません。料理の注文をお願いしたいのですが――」