レッドさん落ち着いて!



……やっぱり、気にしてんのかな。

此処はエックス邸中庭。ひと頻り乱闘を堪能したところでネロは屋敷の屋根の上で両の翼を伸ばし体を休ませていた。ふと脳裏を過るのはつい先日のこと。

叔父からメガバングルとキーストーンが届けられたというので嬉々として順に試すレッドの傍ら、どうか順番が回ってきませんようにと密かに願うのも虚しく結果として酷く落ち込ませてしまった。そして今日だ。朝から何処にも居やしない。

不貞腐れて家出を決め込むような人でもない。熱心な人だから。


……でもよ、レッド。無理なんだって。だって俺は――


「わっ!」
「うおぉあああ!?」 

ネロは声を上げて振り返った。

「へへーん」
「てめっピット!」

一体いつの間に上ってきていたんだか。

「レッドが呼んでたよ?」

用件を告げられきょとんと。帰ってたのか。

「何処に?」
「食堂!」

ピットはネロの腕を引っ張り起こした。

「早く早く! 無くなっても知らないよ?」

……はあ?
 
 
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