レッドさん落ち着いて!
マークとルフレは顎に指の背を当てて首を傾けた。鏡写し。双子だなぁ、と。
「三人とも進化についてちょっと敏感だからさ」
「それで僕たちに相談したのか」
レッドは苦笑い。……あの時のネロは何も言わなかったけど。
もし、見えないところで傷付いていたとしたら。
「だからって絆は関係無いような」
言うとレッドはテーブルを両手で叩き立ち上がって、
「――でも! 俺に出来ることがあるとすればそれくらいなんだ!」
店内がしんと静まり返った。どちらかが指摘するよりも先レッドは我に返ったのか羞恥心に巻かれながら座り直して。……何となく伝わってくる。トレーナーとしての責任感、けれどそう堅苦しいものではない。誰より大切で家族のように思い慕う彼らとの絆をメガシンカを通じて証明したいのだということ。
「分かったよ、レッド」
レッドは俯かせていた顔をはっと上げた。
「絆を深められればいいんだね」
「うんっ!」
打って変わって嬉しそうな顔。
「メガシンカをするのにトレーナーとポケモンとの絆が深く関わっているっていうのは本当みたいね。絆を深めるための具体例もここに記されてる」
ルフレは本の一文を指さした。レッドは思わず身を乗り出す。
「やったことないことを積極的に試してみよう」
「大丈夫。すぐにメガシンカ出来るようになるわ」
頷くレッドに笑いかけるマークとルフレ。
けれど三人は知らなかった。これが混乱を招く羽目になろうとは……