レッドさん落ち着いて!
――メガシンカ。
それは、進化を超えた進化とされる、限界を超えたポケモンの進化。
「メガシンカは現在、一部地方でのみ確認されている」
コップの中の氷がカランと音を立てて。
「ただ、何故メガシンカという現象が起こるのか詳しい事は分かっておらず、このメガシンカの謎の究明がポケモン研究者の課題となっている……」
読み終えるとその人は顔を上げて。
「ここまでは分かったかしら」
此処はレイアーゼ都内にある小さなカフェ。
分厚い本の内容に視線をたどらせ読み上げていたのはルフレだった。隣には双子の兄のマークもいる。そして彼ら二人の向かい側に座っていたのは――
「ありがとう、二人とも」
『X部隊』所属のポケモントレーナー、レッドだった。
……実は彼ら、これでもなかなかに打ち解けている。というのも恐らく双方が指揮能力に長けた戦略家だからだろう。通じ合う箇所も多いようで、こうして互いに私服姿でお茶をすることも少なくないようだ。
「メガシンカについての資料は少なくて書店でもなかなか扱ってないんだよ」
「知ってるわ。だから私たちに頼んだんでしょう」
「あそこは何かと厳しいからね」
ルフレとマークが口々に言うとレッドは苦笑い。
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