ハツジョウ禁止!リターンズ!
周期で訪れる“ポケモン”の発情期。
厄介なのは抑制剤での対処を軽い気持ちで怠るとあっという間に周囲の人間を性的興奮状態にしてしまうという危険極まりないそのフェロモン。
鎮める方法はある。ただし、それは一時的なもの。
「――ほんでこのエアガンっちゅーわけや」
ドンキーは装填を完了すると遊戯銃を見つめて。
「言われた通りに作ってやったが本当にフェロモンにやられたのかよ」
「もし、そうじゃなかったら僕たち完全に強盗だよね……」
口々にマリオとルイージが話すのを壁に背を預けてユウは聞いていた。
「可能性はある。それにそもそも一切の連絡が途絶えたという時点でおかしい」
「フォーエス部隊にはゲッコウガのミカゲ殿もいるからな。念には念を」
「あのぅ」
小さな手のひらが発言を制した。
「事情は分かったんだけどさ」
「なんで俺たちまで行く流れになってんの?」
そう言ったのはディディーとトゥーン。未成年といえばルーティやユウ、リオンも含まれるのだが彼らは今回の場に最も相応しくない子供である。
「……トゥーン」
保護者であるリンクは暗い影を落としながら。
「これは謂わば絶好の機会なんです」
「き、きかい?」
「そうやでディディー。ここでライバルに差ぁ付けたらなあかん」
「今回のことで学ぶこともあるでしょう。いいですか」
ずいと距離を詰めると声を揃えて。
「大人になるんですよ」
「なるんやで」
……はあ。
「あれ絶対なっちゃいけない大人のパターンだよね」
「悪い大人だ……」