ハツジョウ禁止!リターンズ!
――そう。僕たち“ポケモン”の種族は周期で発情期がやって来る。
年齢にして十四を過ぎた辺りからそれが訪れるようになり、繁殖を促すように身体から強力なフェロモンを放つようになるというもの。
望まない場合は抑制剤を呑めばいい。ただし対応が遅れると――
「ちゃんと管理しとけばどうってことないんだな」
「そういうことだ」
ユウは腕を組みつつ、
「だからこそ油断ならない。今期といい迷惑をかけたな」
「僕たちは、薬を作っただけだけどね」
ルイージは片付けをしながら苦笑い。
と、ルーティの携帯の着信音が軽快に鳴り響いた。ズボンのポケットの中振動するそれを取り出し、画面に表示される着信の相手を確認するなり「ごめんっ」とひと言断ってルーティは慌ただしく席を離れる。
「ったく。あの時は酷い目に遭ったぜ」
ぼやくファルコは前回、ルーティに襲われたのだった。しかし幸か不幸か、期間中の多くは記憶力が低下してしまうのでルーティは覚えてなかったのだ。
好都合というか。こうして口にでもしない限りあの日の出来事は無かったことかのように扱うのが一番だと思う。何せ酷かった。……色々と。
「……発情期とは繁殖を目的とするものだろう?」
リオンはうっとり両の手で頬を包み込んで。
「決して子を生さない男子を相手とすれば真に生すまで行為が止まないと……」
「じ、冗談だろ」
「少なくとも私は六時間以上持続でイケるぞ!」
「貴様はいっそ去勢でもした方が」
「ええぇえっ!?」
他愛ない会話の最中。
「……昨日から」
そろそろと浴びた視線を返しながら。
「『フォーエス部隊』との連絡が取れない、って……」