ボク、紹介します!



「こちらの席へどうぞ」

よかった……

あの人のことだからふざけて変な名前で予約を取ってるんじゃないかピットは内心疑っていたのである。『女神様』とか『お姉様』とか。実際はその人の本名を店員の女性にこそっと伝えてみたらそれであっさり通じたので考えすぎだったようだ。

……ここまでの思考が覗かれてやしないか若干不安ではあるが。

「結構落ち着いた雰囲気なんだな」

その通り。ピットは周りを見回して感心した。

全体を通して和風の造りであるこの居酒屋。通りには花瓶や壺が飾られており木材の匂いが安らぎを感じさせる。部屋は個室らしく、所々酒の入った席が盛り上がっているようだが目立った音が響かず通りの落ち着きある雰囲気を保っている。

成る程、なかなかのチョイスじゃないか。


「――気に入ってくれたみたいで何よりです」


手のひらで示された戸を開けて直ぐ、聞き覚えのある声が迎えた。

「待ってましたよ」

ピットはぱあっと表情を輝かせる。

「パルテナ様っ!」 
 
 
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