インヴァースの輪舞曲
もっと別の手段の中に答えはあるから。
──戻ってこい!
なんだ。……そういうことか。
本当はもっとずっと単純で簡単だったんだ。
本質を見落としていただけで。
勘違いしていただけで。
「、……帰りましょうか!」
トレーナーが手を打てば現実に引き戻された。
「帰ると言ってもそっちだけどね」
「あーあ。はやく修理終わらないかなあ」
ざわざわと活気を取り戻す。
「お腹も空きましたね」
「よーし今日はご馳走を作るわよ!」
「大袈裟だよ」
「当たり前じゃない!」
デイジーは思い出したように振り返る。
「すっかり忘れていたわ」
肩を竦めて。
向日葵のような華やぐ笑顔で。
「──おかえりなさい!」
この世に蔓延る悪を討つのが正義なら。
悪が枯れた時。
正義は何処へ向かうのだろう。
「、ふ」
そんな疑問は野暮というものだ。
「……ああ」
だって答えはそこに。
「ただいま」
end.
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