インヴァースの輪舞曲
続々と部屋割りが決まっていく。不平や不満もちらほらと見受けられるがすかさずこうしたらああしたらと話し合ってくれるので大した問題には発展しなかった。そうして落ち着いた頃には夕方に差し掛かろうという時刻で、エックス邸では司令塔と異なり食券を買えば予め待機している料理人が作ってくれるという話でもないので幾らかの面子がばたばたと。食事の時間を被せる理由もないのでやれ図書室だ何だと思い思いに散り散りと。
賑やかな一週間になりそうなことである。……
「……よし」
ルーティは真剣な面持ちで端末でのメッセージのやり取りを終えるとひと息。
「何をしていたんだ?」
「えっ、あっ」
わたわたと慌てながら端末を後ろに隠す。
「何でもないよ!」
あからさますぎて誤魔化せるものとも思ってないが──兎角このエックス邸には決して低くはない頻度でスピカがダークシャドウを連れて訪れるのである。敵対組織亜空軍に所属している彼らが今この場所に来たら屋敷が吹き飛ばされ兼ねない。そこまではしないだろうと言い切れないのが彼ら正義部隊の執念深いところである。
「あ、あはは」
「ルーティ」
ロックマンは静かな口調で。
「頼みがある」