インヴァースの輪舞曲



勝負の中で訴えかけるとか。

耳を傾けてもらえる保証なんてない。


それでも。


掴み取りたいのは。

力を語った勝利じゃない。


あんたと過ごしたい日々なんだ!


「、……」


白黒の世界に一雫。

波紋が広がり彩られていく。


「はああああッ!」


ロックマンの足払いを躱したパックマンは地面に力強く足を踏み込み大きく右腕を引きながら赤色のブロックノイズを腕の表面に走らせた。それは手のひらに集まっていくとやがてドット状の赤いモンスター、アカベエを作り出して。その一方ロックマンも対抗するべく変形させた右腕を構えて砲口に光を吸収させていく。


そして。最期の瞬間というものは。

息つく間もなく訪れる。


アカベエによる物理攻撃とエネルギー弾による攻撃はほぼ同時に互いを喰らった。甲高い音が鳴り響きお馴染み赤黒い稲妻のエフェクトが。


ゲームセットを告げる。


「……え」

画面の中の二人は全く同じタイミングでそれぞれ左右に戦場の外側へと大きく吹き飛ばされてそのまま消えてしまった。

しんと静まり返るバトルルーム。モニターの画面は無慈悲にも暗転してローディング画面へと移行する──ある者は諦めたかのように影を落とし、またある者は指を組んで願いを込める最中不意にモニターの画面は目を覚ましたように。


「……あ」


映し出された勝負の結果は。


「……ロック」
 
 
86/92ページ
スキ