インヴァースの輪舞曲
赤黒い稲妻のエフェクトが発生する。
突撃により大きく弾き飛ばされたロックマンの体はあっという間に戦場の外へ。一方で球体から元の人型の姿へ戻ったパックマンは息つく間もなく飛び出す。──入れ込みは上出来だがラインを押されていたばかりに撃墜にまでは至らなかった。寧ろこの戦場に足を付けるために抱え込んでいた技をみすみす晒す羽目になったのは大きな痛手というものだ。互いに体も温まってきた頃──次で勝負を決めるしかない!
崖際。強く踏み込んで飛び出せば目前。未だ体勢は崩れておりチャンスと見て繰り出した蹴りはあっさり体を反らして回避された。ともなれば反撃を警戒して両腕を構えたがロックマンはそれすら見越して敢えて攻撃は下さず急降下。何を考えているかも知らないあの化け物が視界から一瞬にして外れたこの盤面──まずいと冷や汗が滲んだが遅く背後に気配を感じて。
あんなに苦しそうな顔をして……
嫌だな。もしかして走馬灯ってやつかなこれ。
何が本当に正しくて、本当にロックのためになるのか──分かってるの!?
ロールの発言が脳裏に響き渡ってくる。
知ったような口利きやがって。
ま。……あっちの台詞だろうけど。オレ達なんて正直ぽっと出のモブも同然の存在だろうし。
でもさ。
分かるんだよ。……分かっちゃうんだよ。
オレ達がそうであるように。
お前だって。
「……こんな所で」
斬撃を喰らう一歩手前。
「終わってたまるかッ!」