インヴァースの輪舞曲



語るまでもない見飽きた表示がモニターの画面に映し出される。当然のように室内は静まり返り溜め息すら聞こえてこない。指定通りの順番で戦っているお陰でどうにも作業感が拭えないのだろう士気が落ちているのは目に見えていて。

少し前に試合を終えたマークも。

小さく息を吐き出した。


「マーク!」


静寂を破るようにバトルルームに飛び込んできたのはパックマンだった。それもどたばたと慌ただしく駆け付けてくるのでマークはぽかんとして。

「そんなに慌てなくてもまだ試合は」
「最後の選出はッ」
「もうその話をするの?」

隣で聞いていたルフレがむっとして聞いた。

「まだ分からないじゃない」
「、……違う」

パックマンは表情に影を落として。

「このままじゃ」

拳を握る。


「このままじゃ負けるんだよ!」


室内がしんと静まり返った。

「……おいおい」

口を挟んだのはリヒターである。

「何を根拠にそんな」
「少し前に隊長に言われて身体能力検査の用紙を提出したのは覚えてるよな」

パックマンはぽつりと。

「隊長は隊員全員の得意な戦術も立ち回りも全部頭の中に叩き込んである。加えて専門的な知識も持ち合わせているから普通にやったってまず勝てない……」

ルフレが進み出る。

「兄さんはそこまで考慮した上で、選出の順番を指定したわ。問題は解決しているはずよ」
「その順番を変えさせてほしい」

パックマンは眉を寄せながら顔を上げる。

「オレを──最後の砦にしてほしい」
 
 
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