インヴァースの輪舞曲



まあ、……確かに。

上手く言い包められたような気もするけど実際ロックマンがオンライン対戦に徹夜で勤しんでくれたお陰で立ち回りや癖を解説するコメントもSNS上でちらほらと見受けられる。それ自体はマークだけじゃない他の皆も気付いていることだろうし、自分も一通り目を通したけど攻略法を知ったところで勝てるかどうかはまた別の話。

「……、」

アイツは本当に人の事をよく見てる。

それこそ各隊員の基本的な能力から立ち回りの細かな癖とか様々な分析データをまとめた情報資料なんか作るような生真面目で。ここまで誰も敵わないのは資料を作成するだけでなくしっかり目を通して理解しているからこそなんだろう。


パックマン。


「提出期限は昨日だぞ」
「あー」

そう遠くない日のやり取りを思い出す。

「パックマン疲れてるから明日ねえ」
「しっかりしなさい」

溜め息。

「お前だけだぞ」


能力測定の紙を提出していないのは。


「……!」

パックマンだけ?

「おーおー盛り上がってんね」

胸騒ぎというものを覚え始めたその横でいつの間にか自分の端末で今度の配信の様子を眺めていたカービィはへらへらと感想を述べた。

「一方的じゃん」


他の皆は把握されている?


「あー負けちゃった」

わざとらしいような声が聞こえる。

「次の試合は──」

此方の思想など知る由もなくゆっくりと迎え入れようとする自動式のドアに手を掛けながら慌ただしくバトルルームに駆け込むパックマンに。カービィは小さく息を吐いて。

「どいつもこいつも話聞かないんだから」
 
 
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