インヴァースの輪舞曲
パックマンは気にも留めない様子で視線はじっと携帯端末へ向けられていた。
「何見てんの?」
「エゴサ」
とあるSNSサイトのトレンドは物の見事に今回の件に関するワード一色である。それを一つ一つ評価されている順に表示して寄せられたコメントの中で有力そうなものに目を通していき少しでも情報を得ようという魂胆。
正直な話──自分は隊長を相手に殺す覚悟で挑むなんて嘘でも無理だし専門的な用語は聞いたところでパッとしない。それでもだからといって敗北をそのまま認めるのは嫌だし良い線まで喰らい付きたい。そう思って検索をかけてみたけどこれが案外好き勝手に言ってくれてるな。
──次の対戦相手は?
「有名どころ以外興味なさすぎじゃね?」
パックマンは不満げに呟いた。
「そりゃそうでしょ」
カービィはあっけらかんとして答える。
「こういうのは世間に名前知れ渡ってるような有名な連中が戦ってるのが面白いんだからそうでもないような奴らの試合なんて正直言って消化試合みたいなもんだよ」
エゴサにかからないのは流石に傷付く。
「パックマン顔は良いのに」
「顔が良い奴なんてごまんといるでしょ」
否定しきれない。
「まあでもそっちの方が良くない?」
「有名税の話?」
「社会的評価の話じゃなく」
カービィは人差し指を立てながら。
「考えてもみなよ」
例え話を口にする。
「もし隊長さんが全然有名じゃないその辺の一般人も同然の認知度だったとして。対策もなけりゃ必勝法もない、情報皆無のお手上げ状態。それで一体、誰なら止めてやれるってのさ」