インヴァースの輪舞曲
"WINNER ロックマン"
モニター画面に大きく映し出された文字は嘘偽りなく間違いなくそれだった。
「お前、どうやって」
駆け付けてきたパックマンが訝しげに言葉を投げかけるのをミカゲはゆっくりと振り向いて。
「、!」
何の前触れもなく手のひらに水の苦無を生成して目の前までやって来たパックマンの首元にあてがうのだから驚いた。さっきの今で気が立っているものかと思いきや様子が違う。
「拙者は此度の戦い隊長を殺すつもりで挑んだで御座る」
どくん。
「……じゃあ」
「接戦したのは」
ミカゲがこくりと頷くと。
「左様」
苦無は蒸発したように消失して。
「殺す覚悟で挑まなくては隊長には勝てぬ」
そんなの、……じゃあ。あの人は。
殺す覚悟で試合を──?
「私が行きます」
名乗りを挙げたのはルキナだった。
「ルキナっ」
「私たちは未来のために共に戦った仲間です」
感情に突き動かされるようにパネルへと歩みを進める彼女はマークの呼び止める声にも応じず表情には影を落として。
「仲間を、……殺すなんて」
彼女の気持ちも汲み取りたいが生憎通じそうにない。覚悟の話をしているのだとしても彼女に言わせてみればそんな暗く重い感情まで抱かなくとも届くのだと。それを自らの手で証明してみせると言いたいのだろう──マークが口を噤んでいると励むようにクロムがぽんと肩を叩いた。
「俺も行く」
マークはハッとして顔を上げる。
「クロム」
「だからお前は最善の策を考えてくれ」
踏み出す。
「……頼んだぞ」