インヴァースの輪舞曲
バトルルームにいた誰もが。
「、なんで」
目を開いていた。
「なんであいつ撃墜されてないんだ……!?」
ロックマンの放ったエネルギー砲の直撃を受ける直前に体を捻らせて上空へ両手を突き出して水を放出。結局のところ回避にまでは至らなかったが直撃の位置をずらすことでミカゲの体は地面に叩き付けられる──けれどその直前受け身を取って攻撃を掻い潜るように飛び出せばこの攻撃でチェックメイトを確信していたロックマンも直ぐには硬直が解かれずに。
「っ、」
反応は大幅に遅れたが懐に潜り込んだミカゲの足払いを躱すことには成功した。けれど同時に振るわれた苦無による一撃は躱せずにダメージパーセンテージの蓄積を余儀なくされる。体の芯には熱がこもり大技を警戒せざるを得ない状態であるのは互いに同じ。同じタイミングで繰り出した拳が蹴りが打ち消し合う最中。
「ふはっ」
不意に嗤う声に気付いても尚ミカゲは冷たく獲物を見定めて技を繰り出すのみ。
「それでいい」
ロックマンは目を細めて体を翻す。
「……そうでなければ」
程なくして。
赤黒い稲妻のエフェクトが映し出されて。
結果は。
「……ミカゲ!」
試合を終えれば疲労も何も無かったことにされるなんて便利なものだ。あれだけ肩を上下させて喘いでいたというのに疲れ一つ感じないのは違和感さえ覚える。ミカゲは小さく息を吐いてモニター画面を振り返った。
「……隊長」