インヴァースの輪舞曲
、……未来さえ?
「シュルク」
「うん」
呼べば憂いを帯びた表情で応えた。──バトルルームに戻ってきたシュルクは赴く前と比べて暗い空気を背負っていた。既に別の隊員が次の対戦相手として挑んでいるが接戦しているとも言えない。試合を重ねる毎にロックマンはあらゆる弱点を克服しているようにさえ思える。
既に十人が負かされている。それでもまだ半数以上が残っているが、そうして高を括っていればあっという間に全て刈り取られる事だろう。彼には辛いだろうが例え僅かであれ情報を、
「次はミカゲ殿が挑むと良い」
思ってもみなかった発言にマークは対面していたシュルクと揃って振り返った。
「、拙者……で御座るか?」
困惑した様子で指定されたミカゲが顔を向けた先にはリオンが居た。別段ふざけている様子もなくモニター画面を見つめながらリオンは続ける。
「貴殿なら
正直な話ミカゲの実力は認めているしもう少し様子を見てから挑んでもらいたいところだったのだが──あの彼が真面目な面持ちでこうもはっきり言い切るということはこれまでの試合の中で善戦する試合とそうでない試合の違いを既に見切ったということなのだろうか。
詳しく問いただすことはできない。同じバトルルームにいるあの三人──特にあのブルースという男に何を言われるものか分かったものじゃない。判断を委ねるように遠慮がちに視線を投げかけるルフレにマークは小さく頷いた。
「ミカゲ」
吉と出るか凶と出るか。
「次は、君が行ってくれ」